
座談会
【座談会企画】現場の声から生まれ、現場に育てられた。QナビORDER、進化の軌跡
本記事では、黎明期を知る古参メンバーと急成長期を支える中堅・若手メンバーの4名が集まって、アイデア誕生の背景、個人店向けからチェーン店向けへの転換、コロナ禍での試練、DX化とメニュー拡大、そしてこれから描く未来図まで――QナビORDER(以下、Qナビ)の過去・現在・未来を座談会形式で振り返ります。
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DX事業部
長野 寛史
中途入社:8年目(※2025年10月時点)
Qナビ黎明期から携わり、個人店向けからチェーン店向けへの転換や展示会での拡販など、全フェーズを現場最前線で経験してきました。現在は係長として営業戦略の立案からパートナー企業とのリレーション構築、若手メンバーの育成まで幅広く担当し、サービス成長のけん引役を務めています。
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経営企画室
近藤 幾郎
中途入社:5年目(※2025年10月時点)
転職2社目としてグローバーに参画し、経営企画室でIPO準備を中心としたコーポレート業務を担当しています。最近は社長直下のプロジェクトにも携わり、資本政策や事業計画のブラッシュアップなど「会社を次のステージへ押し上げる」役回りを担っています。
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開発事業部
御厨 寛人
中途入社:2年目(※2025年10月時点)
開発部でプロダクト全般の進行管理とチーム統制を担当しています。大手クライアントの窓口として要望を汲み取り、仕様に落とし込んで開発へ橋渡しする“ハブ役”がミッション。現場のリアルな課題を技術に反映し、Qナビの機能進化を推進しています。
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DX事業部
今村 明日香
新卒入社:2年目(※2025年10月時点)
DX事業部で導入企業の問い合わせ対応や運用フォローを担当。日々のサポートを通じて得た現場の声を開発チームへフィードバックし、チェーン店への定着支援やアップセルのきっかけづくりにも取り組んでいます。
若手営業マンのひと言が、全ての始まりだった
〈起源・開発背景 2015〜2018年〉

近藤:長野さん、まずお聞きしたいんですけど、Qナビってそもそもどうやって生まれたんですか?
長野:Qナビの始まりは、若手営業が『業者と店舗をスマホでマッチングできれば、受発注が格段に楽になる』と言い出したことがきっかけです。
当時、グローバーは緊急駆けつけ専門のコールセンターを運営していました。現場では、電話応対→手書きメモ→FAX発注という手間のかかるフローが常態化。夜間になると情報が混乱し、10名ほどのアルバイトが対応に追われていました。
現場の非効率をどうにか改善したい。そう思って、『マッチングアプリを使えば楽になるはず』と企画が動き始めました。2015年のことです。
こうして、現場ヒアリングを重ねながらプロトタイプを検証。試行錯誤の末、2016年に個人店向けの第1弾リリースへとつながっていきました。
年1回の依頼ではビジネスが回らない
〈第1弾リリース~失敗 2018~2019年〉

今村:個人店をターゲットにした第1弾がうまくいかなかったと伺いました。どんな点がミスマッチだったんでしょう?
長野:年1回のみのメンテナンスでは依頼頻度が低く、手数料モデルが回らない。16万店舗の飲食店を回り切る営業コストも現実的ではありませんでした。
代理店を立てて巻き取ろうとしたんですが、“導入実績ゼロのSaaS”は販売しづらい。結果、半年で撤退を決断しました。
御厨:でも“負け筋を早く見極める”のはスタートアップの鉄則。痛みはあっても、次に活かせる。
長野:はい。個人店市場を“学びの場”と割り切ったことで、次のチェーン店特化型リニューアルに全リソースを振り分けられたんです。
展示会で“アプリは信用できない”の洗礼を受けながらも、大手スーパーチェーン・大手飲食チェーンなど大型顧客との契約が動き出す
〈ターゲット転換・展示会出展 2019年〉

長野:チェーン特化型リニューアル後、完成前のモックを持ってITソリューション展示会に出展しました。Uberを参考にした画面遷移モックで説明すると、『面白い』派と、『アプリは信用できない、電話で声を聞きたい』派に真っ二つ。正式リリース前に賛否を直接聞けたのは大きな収穫でした。
近藤:当時はかなり小さい展示ブースだったと聞いていますが、展示会から契約に結びついたことはあったのでしょうか?
長野:展示会で偶然、関東で100店舗以上展開してるスーパー(以下、大手スーパーチェーン)の取締役がブースの前を通りかかったんです。何気なく声をかけたら興味を持ってくれて、『これ、ちょっと面白いね』って。そこからトイレ詰まり対応を皮切りに導入が始まりました。
最初は1〜3店舗、水回りのメニューだけでしたが、社内で責任を持って導入を進める担当者が決まり、着実に広がっていきました。
御厨:その頃、契約した顧客で印象的なのは?
長野:やっぱり全国でラーメン店などを展開する某飲食店チェーンさまですね。200店舗規模で、当時一番大きな企業でした。本部の修繕部門が途中でなくなってしまい、営業部長4人、そしてマネージャー約30人と個別に面談しました。社内の稟議フローや現場の実態を細かく聞いて、徹底的に設計に落とし込んだ結果、今では安定的に月100件を超えるご依頼をいただいています。
“終わった”と思ったコロナ禍、救ってくれたのは大手スーパーチェーンだった
〈2020年 コロナ禍〉

長野:コロナ禍で飲食店が軒並み休業になった時は、“うわ、終わった…”と正直思いました。新規事業なのにストップか、って。でもそんな中で助けてくれたのが大手スーパーチェーンだったんです。
スーパーは逆に激込み状態で、トイレ詰まりの依頼が月30件くらい一気に来ました。売上目標やダウンロード目標も達成できて、首の皮一枚つながった感じでしたね。この経験で、“飲食だけじゃない、スーパーにも大きなニーズがある”と実感しました。
とはいえ、飲食でも営業を続けていた企業はありました。全国150店舗を展開する某居酒屋チェーンさまなど一部中堅チェーンは動き続けていて、依頼も止まらなかったです。
今村:私は当時学生で、とりいちずさんだけお店が開いてるって話題になってました(笑)
長野:やっぱり“営業してる会社にしか依頼は来ない”っていうシンプルな事実が浮き彫りになりましたね。
“スーツ文化”からの脱却。資金調達を経て一気にステージが変わった
〈DX化・メニュー拡大と導入加速 2021~2023年〉

近藤:僕が入社した2021年当時のグローバーは、まさに“ザ・メンテ会社”。全員スーツで週5出社、Google Workspaceも使っておらず、まだまだ“IT企業”とは言いがたい雰囲気でした。
でも、代表が“うちはDX企業だ”と宣言してから流れが一変。個性的なTシャツ姿で社内に出てきたのも印象的で(笑)、そこから服装もマインドも一気にフランクになりました。
長野:事業も同様に進化していきます。2019年に水道メニューのみだったものが、2021年に電気やエアコンへ、さらに厨房機器まで広がり、業種・業態を問わず対応できる体制が整ってきました。
近藤:そして2023年3月に、SBIインベストメント、日本ベンチャーキャピタルという日本を代表する2つのVCが出資。資本力が上がったことで、システム開発への大規模投資、営業の全国展開、人材採用の強化など、事業全体が次のステージへと突入しました。
長野:2023年には飲食業界最大手の企業さまや回転寿司大手チェーン企業さまなど、1,000店舗超の大手チェーンへアプローチ。リモート・訪問を併用しながら、全国で商談を重ねるフェーズに突入しました。
「開発経験者ゼロからの出発。複雑な現場に挑むDXチームの立ち上げ」
〈現在:体制・機能強化 2024~2025年〉

今村:お客さんが増えていく中で、システム要望も増えてますよね。御厨さんが入社されたのって、ちょうどそんなタイミングでしたか?
御厨:2024年7月に入社しました。最初に驚いたのは、当時のチームに開発経験者が誰もいなかったことです。技術的負債が積み上がっていて、“なぜこんなに速度が遅いの?”という部分に直面しました。
機能追加・負債の改修・将来を見据えた開発を同時に進めるには限界がある。そこでプロダクトマネージャー、テスト、AI、技術支援それぞれに専門人材を配置し、ベトナムのオフショアチームとも連携する体制を半年かけて整えました。
近藤:負債=伸びしろって考えると、開発する面白さもありますよね?
御厨:そうですね。メンテナンス事業って、店長・本部・業者・役員など、ステークホルダーが異常に多い。ある人の“便利”が、別の人の“やりにくさ”になる。だからこそ、“誰のために何を作るか”を毎日考え続けるのが面白いんです。
全国で“Qナビが当たり前”の世界へ。仲間とともに、もっと先へ

今村:Qナビの未来って、皆さんどんなふうに考えてますか?
長野:全国どこでも“Qナビで頼むのが当たり前”っていう世界を作りたいです。僕が入社した当初から思っていたことで、ようやくそのビジョンが現実味を帯びてきました。でも実は、東北や四国、中国地方など、業者の数が足りないエリアもまだまだあるので、今後はマッチングの最適化が鍵になりますね。
御厨:現場の声をシステムに反映して、もっと“使いやすいQナビ”を目指したいです。今はAIを使った故障予測にも取り組んでいて、たとえば“この季節、この設備は壊れやすい”というパターンを先回りして提案できるようになれば、修繕コストの最適化にもつながります。報告書の要約や依頼投稿のサポートなど、生成AIの活用にもまだまだ余地がありますね。
近藤:経営企画としては、Qナビが社会インフラとして機能する未来を見据えています。“これは世の中を変えるサービスだ”と期待してくれる投資家も増えていて、IPOに向けた動きも加速しています。今想像しているよりも、もっと大きな世界を一緒につくれる実感があります。
今村:私も入社して2年目ですが、現場で“こういうサービスを待ってた!”って言ってもらえるたびに、自分たちの仕事が現場の力になっていることを感じます。もっともっと広めたいと思いますね。
長野:いやー、改めてこうして振り返ってみると、やっぱりいろんな転機があって今があるなって実感しますね。最初は依頼ゼロのアプリから始まって、展示会、初契約、そして今では1000店舗規模の企業さんとのやりとりも当たり前になってきている。Qナビって、ただのプロダクトじゃなくて、“一緒に育てていくサービス”なんだなって思います。今日話したような熱量を、これからジョインしてもらえる人たちにも引き継いでいきたいですね。